※16020hitリクエスト。メリクリの続編です! 



眩いばかりの光に目を奪われる。

見上げたのは、聖夜にふさわしく彩られた巨大なモミの木であった。




『メリーメリークリスマス・トゥ・ユー 2 』



「え? 」

天使だか、地縛霊だか、死神だか、なんだか分からないけれど、とにかく
綺麗な人だ。
その三成がちょっと厭味な顔をする。


「お前・・・手袋失くしたのか。しかも片方とか、ドンくさいな。」
「うっ・・そんなハッキリ言わないでください! 落ち込んでるんだから。」

頬を膨らませて抗議する幸村にはお構いなしだ。
三成は、幸村の少年らしく張りのある頬を遠慮なしに、人差し指で突いた。


「痛い、痛いですよ」
「ぷにぷにしてる。」

いたく気に入ったらしく何度もつっついてくる。

「こ、子供扱いしないでくださいって! 」
「どう見ても子供だ。」
「もう高校生です・・・・。」


幸村は、肩で息をついた。どうせ言っても無駄なのだ。
この短時間でよく分かった。三成は、とても強引だ。


「さぁ、行くぞ幸村! 」
「行くってどこへ?! 」

と、手を掴まれて走り出したのがついさっき。
三成は、握った幸村の手が凍えるほど冷たいのに気がついたらしく、
「手袋は? 」と首を傾げた。
そして、正直に失くしたと話せばこの仕打ちだ。

「仕方ない、手を繋いでやろう。」
「そそそそ・・・そんなっ」

美人と手を繋ぐなんて今までにない状況だ。
赤面する幸村に構わず三成は、いささか雑に手をつなぎなおしてくれた。

(それにしても・・・)

良い匂いです。
美人は、すべからく良い香りがするのだろうか。赤っぽい艶やかな髪が
歩くたびに冬の冷たい風にそよぐ。甘やかな香りが鼻孔をくすぐる。


「そっ、そうだ! そんなことより、三成さん行くってどこへ行くんですか? 」

「なに言ってる。決まっているだろうクリスマスと言えばツリーだ! クリスマスツリーを
 見に行くぞっ」
「へー・・・・。それならたしか、」

「駅前だな。さあ、急ぐのだ。予定が詰まっているのだよ! 」

「予定って言われても・・・。クリスマスに二人で何をするのが良いのか、僕には
  分からないですけど」
「大丈夫だ。」

きりっとした顔で言われても。

「いろいろ調べてきたらか。」
「三成さん・・・・」

クリスマスどんだけ楽しみたかったんだよ、この人。




*     *    *     *      *      *     *      



かくして、
駅前の大広場に辿りついた二人である。


聖夜を祝うためだけに飾り付けられたのは、
樹齢50年はたっていそうな立派なモミの木であった。

赤や青、金や銀。色とりどりのオーナメントにも粉雪が優しく舞い降りる。

なかなかに幻想的な景色だ。


だが、幸村は落ちつきなく辺りを見まわした。 

「三成さん、見事にまわりカップルばっかりですよ! 」

目に映るシルエットはどれもこれも寄り添う恋人たちである。

「幸村・・・・」
「は、はい? 」

「羨ましいのか。」
「え、いや・・・・・・そういうわけでは、」

ないとも言いきれないのが悲しいところ。
俯く少年に、三成は嘆息した。

「ふう・・仕方ない。じゃあ、カップルっぽいことをすればいいのではないか? 」
「ええ?! 僕たちがですか」
「うむ。」

どうしてそうなる?

「だって今日は、幸村にいろいろ教えてもらわないと、な? 」
「うー」

頬笑みに目眩がする。

「ど、どうすればよいのでしょうか・・・・」

艶然とほほ笑む三成。

「お好きなように? 」
「おふぇっ」

緊張しすぎてお腹が痛い。
その一方、三成はいたってマイペースだ。

「まずは〜、こうしてー」
「え? え? 」

何かを思い出しているのか、ちょっと上向いて首を傾げた。
そのまま幸村の手をとって、自分の両肩におく。

「見つめ合うんだろう? 」
「あの・・・!!! 」
「ん? 」

「違う? 」と、小首を傾げる。


「な、なにを」
「大丈夫だ。ちゃんと調べてきたから。」
「ま、またそれか・・。なにをお勉強してきたんですか? 」

「ふっ。『恋人たちのクリスマス★しちゅえーしょん200選!』という雑誌で、恋人っぽい行動は
 全て予習済みなのだよ。」
「なんですかその雑誌! 」

自信満々でそんなこと言われても。

吐息がかかりそうなほど近くで見る三成の顔は、無邪気そのものだ。

「破廉恥ですよ! こんな往来で・・!」
「でも皆・・・ほら」

「うっ・・・たしかに」

カップルばかりの中ではそう目立たずに済みそうだ。
それに。
それに、こんな美味しい展開逃したら男がすたる・・・気がする!

幸村は意を決した。

「で、では・・・みつなりさん後悔しないでくださいねっ」
「んー? 」

(神様! お許しください!!)

薄く開いたままの形の良い唇に口づける。

思ったより柔らかい。そして、温かい。
とても整った顔立ちの三成は、冷たそうで、まるで良くできた氷細工のようだ。
だが、触れてみれば心の温もりをそのまま伝えるかのように、ほの温かいのだ。

「んっ 」

「はっ・・・・はぁ・・・・・! 死ぬかと思った!!! 」

勢い身を離すと、ばっちり三成と目があった。

大人の余裕か、三成はそんな幸村に優しく微笑んで一言。

「幸村、お前息止めてただろ? 」

「うわぁああああ・・・・不覚です!!!! 」

美人に言われるとショックも大きい。
聖夜に幸村は項垂れた。

頭上では、相変わらずクリスマスツリーが煌びやかな光を瞬かせている。

「これがキスか〜。ふうん。」
「み、三成さん? 」
「次は? 」
「え・・・・・・・・・」

「ゆきむら〜」
「え・・・ええええええ」

次を要求されても困ります。にやにや笑いながら三成は、また幸村のほっぺたを
突っつきだした。

「い、痛いですって」
「まあ、お子様にはこれくらいがちょうどいいか。」
「そんな〜」
「つづきは、来年、だな?」

にっと微笑む。
その姿は、魔性。
また来年もこの人に付き合わないといけないのか。

「うううう・・・・」


運が良いのか悪いのか。
そいつは、まだまだ分からない。




聖夜には、ご用心。

特別な日に溜息なんてついてると、貴方の元にも何かがややってくる・・・・かも?



END. 



魔性な三成さまでした(笑;
ヘタレ幸村と綺麗なお兄さん三成の、いちゃいちゃクリスマス!
っていうテーマだったはず。
来年・・・・、幸村はずっと受難つづきなんだろうな。
リクエストに応えられたでしょうか?;;
遅くなってすみませんでした(@_@;)

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