※ 幸村×三成+くのいち カップリングと言うほどのものではない。
『あれは出来心』
オロチにて
くのいちの、三成「顔だけ」発言について本気だして考えてみる〜♪
「幸村、お前のところの忍いったいどういう躾をしているのだ? 」
三成の溜息に幸村は血相を変えた。
「な、なにか三成殿の気に障るようなことを? 」
「うー、俺は顔だけの男だと。まあ、それはいいのだが幸村の友に
はふさわしくない、というようなことを言われてな・・・凹んで
いるのだよ」
ふっと悲しげに視線を反らす三成。そこら辺の女では太刀打ちで
きそうにない美貌に影が差す。
それだけで、幸村の胸は痛むのだった。
「い、いいえ! とんでもない! 三成殿は外見も心も美しい方、
決して顔だけだなんてことはありませんよ!! 」
「なっ! なにを臆面もなく・・恥ずかしいではないか!」
幸村は頬を染める三成の手を取って、激しく首を横に振った。
「申し訳ありません、ですが本当のことです。わ、私はうまく言え
ませんが三成殿のことが大好きです! 兼継殿に三成殿、お二人が
友でいてくれることが本当に誇らしいのです!! 」
「・・・・や、やめ」
やめてほしい・・・。三成は切にそう願っていた。
(俺は今、恥ずかしさで死ねる)
チーーーーーン
「あぁ!! 三成殿オォォォ!!! 」
がくがく揺さぶられて首がもげるかと思ったが、
ほどなく三成は正気を取り戻した。
「申し訳ありません。 くのいちにも後で私からきつく言ってお
きますので、どうかお許しください。」
「い、いや、俺は別にそんなつもりでは・・・うう、すまぬ幸村、
俺もこんな下らぬ話をするのではなかったな、・・・忘れてくれ。」
「そ、そんな! 三成殿に謝られては困ります! 」
再度、幸村は三成の手を取って懇願した。
これが無意識だから怖い。
「うっ・・・そんな目をするな幸村、俺が悪かったと言っている」
三成はこの手のひたむきさに、というか、犬を思わせる幸村の濡れ羽
色の瞳に弱かった。
(ど、動悸がするだろうが! )
「ですが三成殿・・・私は」
くう〜ん。
犬だ。完全に。 この目に勝てる気がしない。
「いいのだ幸村、俺はお前のその言葉が聞けただけで十分だ。」
(というか、もうやめてほしい。)
「三成殿! なんとお優しい!!」
「やめろ恥ずかしい奴め・・・」
頬を染めながらも三成はどことなく嬉しそうだった。
そんな、見てる方が恥ずかしくなるような青春ラブストーリーを
続ける二人を楽し〜く見つめる影一つ。
その日の幸村邸。
「たっだいま〜幸村様、今帰りましたよん? 」
しゅたっと自分で言いながら庭に降り立ったのは真田に仕えるくのいちだ。
黙っていればそこそこ可愛いのだが、落ち着きがないのが困りもの。
というか、忍としてもダメだとは思うのだが。
「おお、くのいちではないか。まったく今日はお前のせいで危うく
三成殿との友情にひびが入るところだったぞ? 」
好青年オーラ全開で爽やかに笑う幸村に、くのいちも「てへへ」と返す。
「どうせお前のことだ、さっきのも見ていたんだろう? 」
「ばれちゃいましたか、にゃはは〜でもみっつんと仲直りできて良かった
良かった♪」
「ああ、そうだな、良かった」
「あり? 怒ってないのかな〜? って」
ごりごりごりごり・・・・
笑顔の幸村は容赦なく、くのいちの米神をげんこつでぐりぐりする。
いわゆる、お母さんの必殺技「うめぼし」である。
「ふふふふ、仕方ないな、くのいちは」
「いたいいたいいたい〜・・幸村様、目が全然笑ってないよ〜!」
「ふふふふ」
(こっこわ・・・)
絶対零度の笑顔に、修羅を見た。
くのいちは二度と三成にちょっかい出すのはやめよう、と心に誓ったのだった。