※ やっとラスト! カオス注意。


そして30分後。

「さぁ続けるぞ、」

『王様だぁ〜れ!』

「ん? わたしだな! ではやってもらうぞ『4番が7番に愛の告白』だ!」
「なんと! 4番はわたしですが、どなたが・・・相手でしょう?」
幸村がいそいそと立ち上がる。
「7番はわたしか・・・・」
名乗りを上げたのは、思惑通りに酔っぱらい、いい感じにできあがってしまっている
陸機だ。

「あ! ええっと、愛の・・・告白ですよね・・・・・り、陸機殿っ」

「ん? なんだ・・・?」
「あなたのことが、す、好きですっっ」
なんてストレートな。誰もがそう思った。が、
「嘘つき。」
「え」
「嘘だ・・・・」
「そんなことないですよ? 」
「ふぅん? じゃあ、ねぇ、どこが好きなんだ? 私のどこがいい? 」
「えぇぇ〜?! それは、それはですねぇ・・・美人ですし、礼儀正しいし、」
「こんなに・・・みんな私のこと・・・高飛車だって言うのに、みんな・・・わたしが
 嫌いなのに。」

(か、絡みだしたぞあの人! )

「えっと・・・高飛車なところも好きです、よ。本当に! 」
言っていて無理があるのは承知の上だ。しかし相手は酔っ払い。
陸機は幸村の顔を焦点の合わない瞳で見るめる。それも穴があくほど。

「ふぅん・・・・そうなのか、そうなんだ・・・いい人だね、あなた。」
にこっと笑う。それは酔いのせいか、とろけそうな笑みだった。

「!」

それだけで陸機は疲れたのか座り込んで机につっぷした。
がつん、とか痛い音がしたのは気のせいかもしれない。

「え!? 死んだっ」
「あ、落ちた、・・・陸機、おい、お〜い」
揺さぶる三成の手をうっとおしそうに払いのける。
「あぁん・・・やめてくださいよぉ〜三成さん、もう眠いんだから・・・やだって」
「おい誰だ! こんなに飲ませたの?? なんかもう可哀そうなことになってるぞ
 この子! キャラ壊れてるぞ」

そういう三成もほどよく回っているのだが。
自分が酒に弱いことを知っている彼は、節度を守ってちびちびしか飲んでいない。

「や〜だって・・・・うぁあ〜ん、もうほっておいてくださいよ! んんん・・・・・眠いし」

「あちゃ〜! 陸機さん、意外と飲むから、つい」
出されれば出されただけ飲む陸機。弱いほうではないが若さゆえか、限度を知らない。

「兄上は酔うとこんなものですよ〜。大丈夫です、放っておいても雲がちゃ〜んと
 介抱しますから♪」

「じゃあ、次がラストって感じですかね。」
「まだ続けるお前らの根性に乾杯だな。」
「ふっふっふっ・・・三成、次の王様にはキス権があるのだぞ☆ 本番はこれからだ、
 王様になったものが指名して深〜い口づけを行うことができるのだからな!」
「・・・・・・あれ? 指名って王様ゲームじゃな」

「よし行くぞ〜!!!!」
華麗なるスルーであった。


『王様だぁ〜れ?』

「ん? 一番か・・・なんたること! 残念だ」
「あ〜私も違います!」
左近も黄耳も首を横に振る。
「俺じゃないですね」
「わたし、でもありませんねぇ」

「あ、・・・・俺だ。」
なんですって?
攻めチームが見たものは、無感情に割り箸を睨んでいる三成だった。

「なんたることだ! 三成、ここは私と義の道を」
「三成殿ですか! ・・・・はっ! あの・・・指名はその、私に・・・なんて! なんて!」
「二回言うな、三成さん大人のお付き合い知りたくありませんか? 俺でよければ」
「うぅ・・・」

「ここは参戦しておくべきですね。」
にっこりほほ笑む黄耳。

「なに? お前は陸機の・・・犬、とかいうヤツだろう。」
「士衡さま寝ちゃいましたし。それに、」
おもむろに立ち上がった黄耳はそのままテーブルを半周して三成の隣に膝をついた。
遠慮もなしに三成の肩口に顔を寄せる黄耳。
「あなたのこと嫌いじゃないですよ、」
「・・・っ!」
(耳元で囁くんじゃない!)
思わず三成の細い肩が揺れる。
甘く囁かれて三成は硬直した。それをいいことに黄耳は正面から三成を見つめる。
「三成さん、」
「いっいいのか、陸機・・・こんなことになってるぞ!」
「ん?」
「ぅぁあ〜・・・私にふらないでください! いっいいんです・・・・わ、わたしは黄耳の飼い主な
 だけで、・・・こ、こうじが誰かを好きっでも・・・へ、平気・・なんれすから」
哀れすぎて「じゃあ、泣くなよ。」とはさすがの三成にも言えなかった。
「見ていられない!」とばかりに両手で顔を覆った陸機。少し覗く頬も首筋も赤く染まっている。

「ですって。士衡さまも、ああ言ってますから」
「おまっ! そんな冷たくていいのか?!」
「ん〜士衡さまってここまで酔ったら明日にはなんにも覚えてないタイプなんですよね?」
「ね? じゃない・・・」
なんたる鬼畜だろう。
ちょっともう、黄耳の優しいはずの笑顔が怖い。

「それに、嫉妬されるのも悪くないじゃないですか。可愛い人でしょ、」
くすっと笑う。
「当てつけに人を使うな、」
「まさか。言ったでしょ、あなたのことは嫌いじゃない、むしろ好きかな。あなたって、
 魅力的な匂いがするんですよね」
細くて白い首筋。
酒のせいか体温があがっている。肩にかかる髪をよけることもせずに、黄耳はその首筋に鼻を押しつけた。
「な! なにするっ」
すばやく身を離し、わざとらしく頬笑みを浮かべる。

「わたしとキスします? 」

「じょ、冗談じゃないお前っ俺をからかっているのか?!」

「そうだぞ不義だ! 」
「なんて大胆な・・・わたしも見習うべきでしょうか、」
「いいんだよ〜幸村はそのままで。ああいう、お兄さんにはなっちゃダメだぞ。」

「黄耳、言っておくけど兄上が覚えていなくてもわたしが覚えているからね。そこんとこ
 分かってやってる?」

「・・・・・士竜さん、そうきましたか・・・・大人しいと思ったらやりますね。」

冷え切った雲の視線に、さすがに黄耳の笑顔も多少ひきつる。

「三成さん、ここは野獣どもより雲とキスしたほうが健全じゃないですか?」
「え・・・」
「あ、士竜さんズルイ手を」
「そうだぞ〜! ここはわたしと三成っ」
「黙れ貴様ら。」

『ら』って。可愛かった雲はどこへやら。頬笑みが真っ黒に見えたとか見えなかったとか。

「ふふん、兄上も、三成さんも雲がしっかりお家まで送りましょう。むしろうちに来ればいい!」
「その場合、わたしもいますけどね」
「犬はお外で寝ればいいのだよ! ははは、兄上がいない今、お前は外で十分だろうがっ 」
「・・・・・お酒の力で腹黒一直線じゃないですか」
「さて、三成さんさっさと雲を指名してください? 」
可愛い顔して強攻だ。

「お前たちみんなの気持ちはよく分かった・・・・・(ていうか怖いのだよ全員!)、俺は、 」
「俺は?」

「俺が指名するのは、――――陸機だ!」

「あ?」
「聞き間違いー・・・」
「うぉ」
「そっちですか?!」

「また寝てますねぇ」
「起きろ! 陸機、」
「なん・・・・聞いてますよちゃんと・・・・馬鹿にするな! んふふふ〜」
夢心地ですか。
三成の気持ちも多少覚めたが、まぁ仕方ない。
「キスすればいいんれしょ? 簡単なのですよ、わたし、才子なんだよ? なんでもできる
 んだから〜」
笑いながら陸機は三成に抱きついた。
「お前、・・・・綺麗な顔して馬鹿だな。そして重い!」
「三成さん、」

とろんとした瞳で見つめてくる。
酔ったせいで体温が高い。多分、お互いの体温が熱いのだ。

「キスってなんでしたっけ・・・・?」
「ば・・・・ばか・・・・・酔いすぎだ」

「してくださ〜い、わたしからは無理です、あなたからしてください。」

(うっ! なんてこと言ってるんだあの人は)

「ちょっ! 士衡さま」
「ん、黄耳は・・・・わたしのことが嫌いみたいだから・・・嫌だ! 三成さんも嫌みたいなの、
 雲、代わりにわたしとキスする?」
えへへ〜と笑いながら弟を手招きする。
「ぐぁっ・・・あに、兄上・・・自重してください、もう私、死にそうですよ?! ライフないですよ」

「馬鹿、こっち向け陸機。」
「え?」
振りかえる美しい顔を多少強引に両手で挟んで顔を寄せる。

んちゅ・・・

「ちょっと! 」

「あ、・・・や・・・いやっ・ん・・・三成さ・・・・」
「んふっ・・・・おま・・・・あ・・・・ちょっと、・・」

『まじか!!!!!』

媚態を超えて、青少年にはちょっと耐えられないことになっている。
絡み合う二人の美人。
呆然とする一同をよそに二人の口付けは深くなっていく。

「んっ・・・・んふっ・・・・」
酔いが回った脳が考えることさへ放棄させる。
ただ、ただ快楽に落ちていく。その様、淫美。
「はぁ・・・ぁッ・・・・う・・・・・」

乱れた呼吸に堪らず陸機が喘ぐ。
「いぁ、・・・」
その手が三成の背に回る。三成の手もまた苦しさゆえか陸機の黒髪を乱していく。
白い眉間に刻まれた縦じわ。ぐっと寄せられた柳眉がなんともいえず艶めかしい。


「って! いい加減やめてくれませんか。こっちが耐えられない。」

主か三成か、どちらにに苛立っているのか分からないが、割って入ったのは黄耳だ。
ぐいっと強引に二人の頭を引き離す。完全に力技である。

そのまま畳に手をついた陸機が尻もちをついたままの三成を振りかえる。
「あふっ・・・・すいません・・・ちょっと息切れた・・・・」
「・・・・貴様、殺す気なのか、本気でするな・・・・!」
「なんか・・・・酔い、覚めた・・・・あぁ・・・・死にたい」
「うるさい! 俺だって死にたいわ貴様のせいだろ、勝手に死ぬな」
「・・・・ぐすっ、わかってますよ。もう帰る、もう寝ます、」
「うぅ、仕方ない俺も帰るか。」
「三成さん一緒に帰るんですかぁ? だったら家に泊めてくださいよ。私たちの部屋ここから
 そんなに近くもないし。」
「むしろお前の家に泊めろ馬鹿。」
「むーー。いいですよ、来る勇気があるならね。」
「阿呆か、お前には絶対に襲われない。確信できる、自分の心配をしろ」
「はぁ? おかしなことを言う人だな。」

睨みあったかと思えば、くすっと笑いあう。
ふらつく身体を動かして、二人はもたれあいながら靴を履いて座敷を後に
しようとする。

「あ、お待ちください! 二人じゃ心配です、雲もいいですよね三成さん?」
「・・・・ん? まぁ、いいかお前は無害そうだ。」
「はい! もちろんですよ、雲は人畜無害です」

かつて、自分でそう言った奴に本当に無害なものがいたかどうか。
そんなことよりも、あれ? 取り残された。

「ではみなさん、さようなら〜。雲はお二人と楽しくやるんで、みなさんも・・・ぷふっ・・・
 思う存分楽しんでください♪」
「し、士竜さん!」
「じゃぁね〜お犬さま。左近殿、ごちそうさまでーす。あとの、お二人も楽しかったですよ。
 では。」
一筋の未練もなく雲は踵を返し軽快なステップで二人のあとを追った。

「あれ? 受けが一人も残らないとはどういうことだ!」
「全部おいしいとこ持って行きましたね、・・・・士竜さん。」
「あ〜なんか飲みたい気分だ・・・」
「はぁぁぁ〜・・・・・泣きたいですよ三成殿ぉ〜、まさか陸機さんと・・・そんな! そんな」
「そんなって。なに想像しちゃってるんですか幸村さん?」
「え、いや・・・いや私はそ、そんなことは!!」
「ふふん? そんなことって、どんなことですか? 」

「黄耳くん・・・・・(幸村で憂さ晴らしするつもりかこいつ! 節操なしか。)」

こうして夜は更けていく。
くだらない饗宴はまだまだつづくのだった。



やばい。今回は7人もいて大変ごちゃついた。
でも、三成と陸機の受け同士のいちゃいちゃはありなんじゃない?って思ってしまったの。
・・・・ずびばせん。ダグドラえもんさん、こんなことになっちゃいましたがどうでしょう?
ふへ〜駄目だしももちろん受け付けます(汗;)
でもクロスオーバーは、もう一回書きたいな。そして別に指定ってほどでもなかったww

小説に モドル