※(政三)大学生パロ。おそらくラブコメ。連載ssのプロローグ版です。
:プロローグ:
『FUNKY IT!』
歌:伊達の花嫁?
お嫁にこないか〜♪
苦労はさせないから、
なんにもできないお嬢様育ち 承知の上さ、
綺麗なままでいてくれたら それでいいから たまにならワガママも許す!
だから
俺のうちにお嫁にこないか〜?
そんな関白宣言、もといプロポーズを受けて石田三成は政宗のもとにやってきた。
―――わけではない。
非常に残念なことに石田さんのおうち(オートロック付きの高級マンション)は、
お隣さんの失火により焼失。
(あ〜、火災保険に入ってて良かった。)
しかし、お部屋が直るまでには、早くても2ヵ月かかるらしい。
それまで三成さんは宿なし。
実家に心配をかけるのは心苦しいと、彼は友人のうちに居候することになりました。
そんな話を聞いて政宗も秘かに心配していたのだが、なにせ石田さんは大学内では
マドンナだ。
直江に真田、小西、大谷、宇喜多、長宗我部・・・みんなまとめて同窓生。
行く所ならいくらでもありそうなもので。
だから、
友達に聞いた話では当初、三成は
「え? 政宗のところ? はんっ行くわけあるまい」
とか、平然と言いやがったらしい。
高飛車で高慢ちきの閉懐者、それが石田三成だ。
見かけるのは大学の構内だけ。
同じ講義をとってるときは秘かにラッキーとか、思っている。
しかし、あえて声をかけたりはしない。
三成にはだいたいいつも直江、真田というお邪魔虫がくっついて回る。
羨ましいような、妬ましいような・・・男心は複雑なのだ。
ノリウム張りの狭い廊下で幸村がはしゃいだ声をあげる。
「三成殿だったら大歓迎ですよ〜」
「そうは言っても幸村は下宿じゃないか、お前のうちに世話になるわけにはいかないだろう」
「そ、そうですか? 下宿といっても親戚のうちですから。そんなに遠慮なさらなくてもいいん
ですけど」
「ははは、そんなこと言って幸村は三成に来てもらいたいだけだろう?」
「か、兼続殿!」
「そうなのか・・・?」
「えっっ・・ええと〜だから、その来ていただけたら」
赤面する幸村に幼馴染だとかいう二人が声をあげて笑い合う。
たまに見せる笑顔だけは可愛くて、そう、普段の口の悪さなど忘れてしまうほどに。
だけど、
ぼけーっと見とれていると決まって三成はからかうようにジェスチャーを送ってくる。
口だけ動かして自分の目線よりちょっと上の方で手をひらひらさせる。
「政宗、もっと背を伸ばせ。」の合図だ。
二人の身長差は、やや三成の方が大きい。
やっぱりムカつく。
* * * * * * *
まだ恋人でも、もしかしたら友達ですらないかもしれないけど、賢くて可愛いのは確か。
誰もが振り返るあの石田三成が、自分のうちに帰ってくるというのはまんざらでもない気分だ。
今日も政宗プロデュースの白地に桃色のウサギちゃんプリントが入ったエプロンがよく似合う。
(割烹着もきっと似合うんじゃろうな〜、ういやつじゃ! 三成〜っ)
そんな妄想をぶち壊す不協和音。
ざぎぃっっ
「ぅ?!」
料理中にはありえない音である。
磨がなくても平気なはずのステンレス包丁。なのに切れ味が悪い。というか野菜を
力押しで切っている。
知ってはいたけど、とんでもない料理下手。ほとんど殺人技である。
「お、おい? なんじゃ今の音・・・だ、大丈夫なのか三成ぃ?」
「ちっ・・・問題ない」
「ちっ」てなんだ。
とにかく真剣なのだろう、振り返ることのない頭がセキレイの尻尾よろしく、ぴょこぴょこ上下している。
後ろから手元をちょっと覗き込む。
(うぁ・・・)
可哀そうに、細切りとは程遠いばらばら加減。無残に刻まれているのは緑が毒々しいピーマンだった。
しかし、それ以上に問題なのは三成が野菜を切っていることだ。
「なあ三成〜こう毎日野菜炒めでは飽きんか?」
「知るか。俺にはこれしかつくれん! 文句があるなら政宗がつくればいい」
きっと振り返った三成の手には万能包丁が鈍く輝く。
「わ、わかったから包丁はおろせ! 危ないじゃろうがフツーに!」
「ふんっ 住まわせてもらっているかわりに夕飯くらい、と思って作っているというのに・・・」
ふうぅ、と大きな溜息が零れおちる。
「み、三成・・・」
私が悪うございました、と謝りかけた途端。
「貴様、食べなかったら殺すぞ。」
「わぁーっとる・・・(分かってるよ)」
あっぶねぇー。
怒らせたら修羅モードに突入だ。
この美人、すごく・・・・扱いづらい。
政宗さまと三成の同居コメディーです、多分(笑)
本編ではちゃんと、なぜ同居することになったのかもう少しお話がある予定です。
しかし、私・・・・政三好きだなぁ。マイナーなのに;
モドル