(義トリオ+左近) 皆で海に行こうよ☆という話し。
 ナチュラルにパラレルです!!


『海に行こうよ☆』



「三成! 愛だ・義だ☆ 海に行こう!!」
「は? なに?」 と首を傾げている間に三成は兼継に拉致されていた。


ことの発端は30分前・・・

連日連夜の猛暑。うだるような暑さに、この日も三成は溶けかけていた。
「暑いぃ・・・・」
テーブルの上には、買い溜めしたアイスのカップが既に二つ空になって放置
されている。

「ううううぅ・・・ぐるるるぅ」
「殿、日本語話してくださいよ、言葉がもう獣ですよー? 」
「コロス」
「え? なんで?」
 突然の暴言に新聞を広げていた左近は驚いて同居人を見つめる。

フローリングの床にごろごろ転がっているのは、美貌の上司。

 ――残念だ。

残念すぎる仕上がりに左近は肩を落とした。
普段の凛とした姿はどこへやら・・ 半袖パーカーにジーンズというラフな
格好が、言いたくはないがさらにニート感を煽っている気がしてならない。
「暑い。うざい、だるい。夏なんか死ね!」
「うざいってあんたは女子高生ですか」
「うるさっっ太陽は俺の敵なのだよ・・はっ笑いたきゃ笑え」
 あんたはどこの闇属性キャラ気取りなんだ。
自分で言って三成は壊れたように笑いだした。

「ちょっと怖いですよ殿、左近はお日さま好きですよー? ぽかぽか陽気、ね?」
子供に言い聞かせるようになるべく優しく言ってみたものの見事に裏目に出た。
逆効果だったらしく、見る見るうちに三成の細い眉が寄って行く。
「さてはこの部屋が暑いのも左近のせい・・・」
「違いますよ」
 すっぱり斬られた三成は頬を膨らませて、さらにごねだす。

「あーうー太陽光は危険なのだぞ、俺なんか焼けるとすぐ赤くなるし痛い! 
 左近は痛いのが好きなのか? この変態め」
「左近は痛くなりません。ちなみに変態でもありませんよ? 」 
「ふんっどうだか。紫外線は大敵だと言うのに、シミ・そばかす・ほくろの原因
 なんだぞ? 」
 睨み上げてくる鳶色の瞳に、左近は膝を打った。
「ああ成るほど、殿は色素が薄いですからな。アジア人のばっちり黒髪・黒い瞳は、
 西洋人のそれより紫外線に強いんですよね? 」
「メラニン色素がどうのこうのだろう。」
 どうのこうのが重要なのだが。
 
三成は気にすることもなくウーロン茶を飲みほした。
たしかに色素の薄い三成にはこの真夏の日差しは凶器そのものに違いない。
「あれ? でも殿、冬もぼやいてるじゃないですか」
「寒いのは嫌いだ。」
 なんたる我が儘。

「どちらかと言えば、夏の方が好きだがな。エアコンがんがんに利かせた部屋でひた
 すらだらだらする。これが正しい夏の過ごし方。もとい、快適なライフスタイル。」
言い終える前に、三成はテーブルの上に置かれたリモコンに手を伸ばす。
もちろんうつぶせに寝転がったまま。
「ダメですって。 っていうか設定温度は最低でも22度って言ったでしょあんた
 何度まで下げる気なんですか? 」
左近は今や、のろまな亀状態の三成からあっさりとリモコンを取り上げてしまう。
「ああやめろ!」
「横着な・・・設定温度18度とか氷河期ですか。このご時世にエコじゃないなんて
 不義ですよ!」
「知るかっっんなもん温暖化進めた奴の責任だろうが!」 
「開き直った?!」 
 もはや起き上がることを諦めた三成がガラステーブルをばしばし叩いて抗議する。
「体に悪いですよ」
「このままでは暑くて死ぬがな・・・」
 見つめあうこと数十秒。

突如根負けしたのは意外にも三成の方だった。 
「不毛だ余計暑いわバカ左近。」
「バカって・・・」
 
熾烈なリモコン争いに嫌気がさして寝ころんだところに聞こえてきたのは、

ぴーーーーんぽーーーん

 不意のチャイム。
「客か? 」
「宅配便かなんかでしょう、左近が出ま・・」
 
 どんどんどん

 けたたましいノックに左近はなぜか暑苦しいものを感じた。

  ガチャッ
 
(ガチャってなんだよ?)
中腰の左近に構わず三成はのほほんと「今の開いたな」などと言っている。
はたして大胆にも侵入者は勢いよくリビングのドアを開けた。
「っっ!!」
 見知った爽快な笑顔。
「三成〜!!」
「こんにちは三成殿〜♪」 
「あ・・ああ」
 あまりのことに、ついていけていない三成は茫然と頷いて二人の顔を見返した。
突然の来訪者は満足げ。
少々、奇抜な登場をした二人組は三成の友人であり、左近にもお馴染みの面子。
兼継と幸村であった。
「兼継さんどうやって中に?」
「ん? いたのか島殿、うむ不用心にも玄関の鍵が開いていたぞ! 私だったから
 良かったものの暴漢だったら大変だ。以後、三成の為にも気をつけるように!!」
「普通は開いてても入ってきちゃだめだと思いますけど・・・」
そんなことより、と兼継は三成を引きずり起こして見事な笑顔を浮かべた。

「三成、愛だ・義だ☆ 海に行こう!!」  
「は? なに言って」
意味が分からない、と 首を傾げている間にすでに三成は拉致されていた。 

 
 兼継・幸村に両脇を抱えられての連行。
「海に行こう! 夏なんだからうちに篭りきりではつまらないだろう!」
「え、いや、嫌だ! 暑いのはダメだ兼継ぅ!」
「大丈夫、三成の為に麦わら帽子を用意しておいたぞ☆」
「いらないんだよそういう優しさは! 無理だっ幸村〜」 
兼継は言い出したら聞かない。頼みの綱は素直な幸村だ。と三成は即効でターゲッ
トを変更した。
とっておきの哀願攻撃に、幸村は困ったような曖昧な笑みを浮かべた。
「えっと〜兼継殿の言う通りかと・・・せっかくの夏ですし、きっと楽しいですよ?
 三成殿は海は嫌いですか?」
「いや、そういうことではなくてな・・・・」
 こういうとき、幸村の天然はちょっとキツイ。
「嫌よ嫌よも好きのうちだ♪ 案ずることはない幸村! 三成も美しい海の景色を
 見れば楽しくなって踊り出すに違いない!!」
「踊らない・・俺はなにがあっても踊らないと思うがな・・・」
 もはや三成は引きずられて行く死刑囚に近いオーラを醸し出していた。

 
 かくして、海に向かうことになった一向だが、

 あっと言う間にマンションの前まで連れ出されてしまった。
三成はすでに疲労で膝を抱えている始末。
「ところで兼継さん、海までどうやって行くつもりですか? 」
「もちろんこれだ」
兼継は目の前に止められた小型ワゴン車を指差した。薄い黄色のボディーと、デザイン
と機能を兼ね備えた四角いフォルムがなかなか可愛らしい。
「兼継いつのまに車なんか? 」
「安心しろ! レンタカーだ。今日この日のために借りておいた☆」
 なにに安心すればいいのかまったく謎である。
「用意周到ですね、あ、殿〜日焼け止め塗った方がいいですよ。」
「ん、んん。」
 日焼け止めクリームを取り出した左近の荷物を見て兼継は首を傾げた。
「なんだ島殿も行くつもりなのか? 」
「殿が行くなら左近も行きますよ。ていうか俺が行かなきゃ誰が運転するんですか?」
「おお左近やる気だなぁ」
 大人しく頬に日焼け止めクリームを塗られながら言う。
「心配無用! この免許取り立てほやほやの幸村が見事なドライビングテクを
 披露してくれるだろう!!」
「は、はははぃいっっ! 必ずや皆様を無事本陣までお届けします!」

(心配だよーーーー?!)
(本陣ってどこなのだ幸村?)

「はて幸村、この車は何人乗りだったかな?」
「え? えっと5に」

 どぅえやあ! 幸村は何かの加護により吹っ飛んだ。

「ごっは・・・」
「残念ながら4人乗りだすまないな島殿☆」
「大丈夫か幸村ー!」
「三成殿・・御心配には ごほっ」
 不義だ。もう不条理だ。
きらきら〜なスマイルに、左近は頬を引きつらせながら愛想笑いを返した。
「あんたもたいがい俺のこと嫌いですよね? こうなったら意地でもついて行っ
 てやりますよ。」
「おおそうか島殿は自転車でついてくるそうだ三成!」
 この野郎・・・
「左近、本当なのか?! なぜそんな無茶を」
「殿、騙されちゃダメ! 純心にもほどがあるでしょうが」
「左近頑張ってくれ、俺はお前と海に行きたいのだ!! (荷物持ちがいないと
 困るだろっ)」
「殿・・・殿がそこまで俺のことを・・・行きます行きますよ左近は! 徒歩だ
 ろうが自転車だろうと!!」
「二人とも早く行くぞーよし幸村頑張れ!」
「はい・・・」
「ちょっ今のタイムロス全部あんたのせいでしょうが!」 
 いち早く後部座席に陣取った兼継は「ちぇっ島殿は冗談が通じないな。」
で全てを済ませた。

 出発前からこの調子。先が思いやられるなんてレベルじゃない。
ハンドルを握る幸村のがちがちの背を眺めながら左近は盛大に溜息をついた。
         
 果たして、一行は無事、海にたどりつけるのか?  
        

                                        to be continued......


  なんですって? 続くですって??
ううむ・・・無駄に、な・が・い☆ じゃないか。 しかもこの時期に海って(笑)
 前半戦は完全に「色素薄い人は大変だね」って話しだった。オイオイ
今回も兼継が胡散臭い(笑) だいたいこの話しにラブはあるのか?! 
  頑張れ、自分。 自分でもどこに行くのか分からないよww