海に行こうよ☆1 の続きです。


『海に行こうよ☆ 2』


 普通にあり得ないと思う。
 こいつ本当に友達か・・・?

 有無を言わさず拉致られ、手際の良さに流され、結局三成は兼継の術中に
 はまってしまった。
 が、今最高にそれを後悔していた。

 ――― もっとちゃんと抵抗するんだったな・・・


 時はやっぱり少しさかのぼって30分前。

(なんだかんだ言って、乗り気じゃないですか殿)
 
 三成が助手席に乗りたがったものだから、自動的に左近は兼継と仲良く
 後部座席に座るはめになってしまった。

 (あ〜あ、俺も殿の隣がよかったな・・・)
 「乗れただけでも運が良かったと思ってほしいものだがな☆ 」
 「ちょっと兼継さん! 人の心読まないでくださいよっ。」
 「ふっ読まずとも見え見えだ。だいたい私だって加齢臭のするオッサンより
  麗しい三成の隣が良かったぞ、だがまあ仕方ない。この斜め後ろという好
  ポジションから見守るに留めよう!!」
 「加齢臭とかしませんからね! あと気持ち悪いですよ? 見守るとか」
 「左近うるさい」
 「えっ殿? 左近ですか?」
うろたえる左近に見向きもしないで、三成はぺたーと窓ガラスに額をくっつけていた。

 「さすがだ三成! 愛の力だな」
 「・・・兼継はこうなると日本語が通じないからな。」
 「そう我らの絆はまさに断金の交わり! 」
  三成の言う通り、見事に噛み合っていない。
 「兼継さん今さらっとひどい言われ方してましたけど? 」 
 「問題ない! 」
 (ないんだ〜。)
 幸せな人だなと思わずにはいられない。
 この前向きさ、見習いたいものだ。と左近は肩を落とした。


 「左近殿と兼継殿は仲が良いんですね〜」
 「ああ、そのようだ。」
  相槌を打つ三成の後ろ、左近から声がかかる。
 「おーい幸村、アニソン以外の曲はないのか」
 「え? だめですかアニソン? 」
 「だめっていうか、ねー」
 
 さっきからそれ以外かかってないんですけど。

 ちなみに今かかっているのは、『超絶正義戦士☆馬超さん』のOVA版オープニング曲である。
 ジャケット写真の中では暑苦しい美男子が雄たけびを上げている。
 「みんなで盛り上がれる曲っていったらこんな感じかなーって」

 『うん、盛り上がれないよ。 だってそのアニメ見たことないから。』

 幸村の笑顔に車内一同が初めて一つになった。
 「三成、他のCDが入っていないか見てくれ。」
  兼継に言われて不承不承、CDラックを漁る三成だが。
 「特に、ないな・・・・」
  馬超さんの仲間がたくさんいた。三成にその判別は不能である。
 「さすがだな幸村! ここまで徹底していると爽快だ」
 「はい!」
 「そういう問題でしたっけ? 」
 「幸村はアニメが好きなんだったな、」
 「えっと、ヒーロー系が好きです。子供のころからの憧れというか、恥ずかしいです
  三成殿はそういうの見ませんよね。」
頬を染めて、はにかむ幸村は可愛いことこの上ない。
 年上心を鷲掴みにしてきゅんきゅんっと言わせるには十分。見事な恥じらいっぷりだ。
 
 「いや。そんなことはない俺も好きだ」

 (ウソつけ! 見ないじゃん殿ッ!! アニメとか途中で寝ちゃう口でしょ。幸村に
  甘いですよねえ? ねえ?)

 「左近・・・うるさい」
 「なんと殿まで心を(以下略)」
 
 「ところで幸村、この道の法定速度って・・超えていないか?」
  いつの間にか車は見知った街道から出て、違う景色の中を走っていた。 
 いわゆる、湾岸線。
  
 「さあ、どうでしょう。でも大丈夫ですよ」

 「え?」
いつもと変わらないはずの幸村の笑顔。だがなぜか三成は戦慄した。
 
 ぎゅいぃぃいんっっ

耳をつんざくタイヤ音。

「は? え? ゆきっ幸村っっ車線越えてる?! 」

構わず幸村はステアリングを切ってアクセルを踏み込む。 
湾岸線爆走。すかすかとは言い難い道を車はジグザグに縫って行く。

「ふっ」

にやり。と笑う幸村の目が真剣だった。
  
―――― こいつ、攻めてやがる

「はははっ幸村はハンドルを握ると性格が変わるタイプなのだ!」
「兼継さん知ってたんですか! ゆ、幸村安全運手だ、」
「左近殿、とろとろ走ってて後ろから追突される車と、スーパーテクで逆送する車、
 どっちが安全だと思いますか?」
「なに言ってんの?! 正気になれ」 
「というかなぜ高低差がある? 海に行くのに峠っぽいような」
見れば、確かに高台を走っているようだ。
「島国だから。」
 はい?
海に行こうとすれば、山もあるさ。という論理らしい。
「幸村、運転代われぇえ!」
「はははっ☆」
「必ず勝って見せます」
「誰にだーー!! お前、目ぇ据わってる」
「私には生きてまだなすべきことがあるっ」
「幸村、それここで使う台詞じゃないぞ、俺達死ぬっぽいからやめて」
「お任せ下さい、ここは死地になる!!」

 バカ野郎・・・
 
喧々諤々の中、
 三成は遠くを見つめ始めていた。 そろそろ海が見えてくるころだが

  もう帰りたいんですけど―――?

はたして、一行は本当に無事に海までたどりつけるのだろうか・・・・・


                          to be continued......?




 ありえねー。
また海に着かなかった(笑) なにこの話し。
幸村さまは爆走族なのだよ。アニソン好きそうだし。という妄想・・
 海が出てこないのは誰のせい! 私のせいー?
次は次は海についてくれ。