『Fire veil』
頭の固い奴は嫌い。
ときとして信念は、ただの頑固だから。
なにも分かっていないと言ってやりたかった。
けれど口をついて出たのは、・・・・・「分かりあう必要などない」
冷たい雨に打たれたように背筋が凍った。
さようなら。
決別の一言。
(焦げ臭い。)
三成は、ぼんやりと暮れ始めた空を仰いだ。吹く風に混じった破滅の匂いがする。
「お前ってホントにムカつくな!」
清正はあきれ半分、苛立ち半分に吐き捨てた。
その瞳に自分はどう映っていたのだろう。そしてこれからは、どう変わって
いくのだろう。
「べつに清正に好かれるために生きているわけではない、」
「人間には可愛げが必要だぜ三成、お前にはそれがない・・・」
燃える。
全てが。そう思ったのは、真っ赤に染まる空のせいだろうか。
嫌な未来。 誰の末路?
予感は鳴りやまぬ警鐘となって三成を責め立てる。
「うるさいな、・・・・」
誰にともなく呟いて三成は踵を返した。
「おい、三成!」
さようなら。もうその声には振り向かない。
きっとこのわだかまりがアダとなる日が来るだろう。
痛烈な一撃となって、三成を殺すかもしれない。
それ以上に大きなものを巻き込んで破滅を呼び寄せる。そんな日が来るのかもしれない。
けれど、
今はお互いに、この苦い思いだけを胸に抱いて前に進むしかない。
赤く燃えだした空で、山に帰るカラスたちがはげしく啼き立てていた。
END.
別視点っておもしろい。でも、初清三がこんなシリアスモードとは。
不義です。
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