・・・第二部・・・・


わくわくわくわく。
顔に出ている。にんまり笑う兼続。
その横に、はにかむ幸村、一番はじに黄耳。こちら攻めチームである。
テーブルをはさんで向こう側、上座から、三成、陸機、雲。こちらは言わずもがな、
受けチームだ。

「なんで俺がここですか」
「左近殿は一番年上だからな、上座にしておいた」
「あ〜そうっすか(こりゃ完全に審判席だな・・・・)」

もれなくあぶれた左近先生は、寂しくお誕生日席となってしまった。

「それじゃあ、司会進行でもしますかね?」
「必要ない☆ 」
「え」
「王様ゲームをするぞ用意はいいか幸村!」
「はいっすでに割り箸に番号を書いておきましたっ」
「仕事が早いな幸村、」

「よし! みなのもの引くがいい!」

「あれ? 兼続先輩キャラが・・・・・」

いでませ王様ッ

それぞれがわくわくどきどき、邪悪な動機を胸に秘めつつ、祈り、くじを引く。

『王様だ〜れだ?』

「わたしですっっ」
「おお幸村か、」
これはさい先がいい、と幸村ははしゃいでいる。

「あの、これルールは? 」
強攻につぐ強攻に、たまらず陸機は隣の三成に助けを求めた。

「王様になったものが番号を指定してそいつに命令を下す。単純なゲームだ。しかし、
 王様の命令は絶対なのだぞ。」
「なにそれ・・・? 楽しいんですかそんなゲームが、」
不服そうに機は頬を膨らませる。
「気にするな、ただの遊びだ」
「はぁ」

「幸村、不義な命令はだめだぞ! 」
「わかっています。・・・・ここは手始めに、盛り上がるものを! いざっ
 『一番が五番を平手打ちぃ〜!』」
「え、」

きゃ〜っとテンション高く宣言したものの、合コンとしてはどうかと思う内容である。


「五番って、俺なんですけど。さぁて一番は誰ですかね?」
左近が手を挙げる。
「う、雲が一番です・・・・・どうしましょう! 先生を叩くなんて」
「お〜やってしまえ雲! 」
「三成さん? 楽しんでますよね」
「王様の命令は絶対なのだ。仕方なかろう。」
 つん、と顎をそらす綺麗な横顔を左近は恨めしげに見つめた。

「まぁいいですよん。可愛い人の平手打ちなら喜んで、」
「す、すみません・・・ 」
頬を染めつつ立ち上がった雲。
ちょこちょこと左近の元まで歩いて行ったと思ったら次の瞬間、左近の頬めがけて
一撃を繰り出す。

ばちん!

「あいたっ!」
「ひゃ〜! ご、ご、ごめんなさいっ」

ぺたん、と、ひざをついて「大丈夫ですか?」と自分で張った左近の頬に手をやる。
「意外と思い切りがいいですね、いや〜いい平手でしたよ陸雲さん、」
「そうですか? 」
心配そうに顰められた細い眉。近くで見れば見るほど、可愛い顔をしている。
琥珀色の瞳も赤に近い髪色もどちらかといえば兄より三成に近い。
けれど、不思議と三成に似ているとは思えない。
全てが繊細に、甘やかにできているのだ。

「そうですねぇだったら別の方法で慰めてほしいんですが」
「別の、ですか?」と首を傾げる雲の細い手首を握る。
と、
「うっ雲に触らないでくださいっ! やめて! 」
「え、やめてって・・・」
「そうだぞ左近っ生徒に手を出すとは貴様・・・許さん」
「貴様はないですよ〜三成さん!」

急にぎゃんぎゃん喚きだした二人の才子。
案外気があっているのかもしれない。左近は降参、と雲から手を離した。

「あちゃ〜美人が二人も揃うと迫力ありますね、すみません。ちょっと調子に乗っち
 まいましたか?」
「いいえ〜」
 しかし雲はたいして気にしたふうもなくほほ笑んで兄の元に戻った。

「雲〜」
「兄上〜」
「三成さんの躾が悪い!」
「なにっ」
睨みあげてくる視線はとても強いのに悪い気はしない。
(・・・並べて置いておきたい。)
冷然としながらもどこか愁いのある美貌の陸機。
華やかだが、人を寄せ付けぬ棘のある美貌の三成。
二人そろえたらこれはかなり、目の保養だ。


*  *  *  *  *  *  *

と、言うわけで。

そう、男たちは狼になった。もはや手段は選んでいられないのだ。
トイレで会議中の攻め組。

「幸村は、誰がいいのだ?」
「う〜三成殿・・・か、陸機殿・・・でも陸雲殿は可愛らしいですよね」
「なるほど、どれも捨てがたいわけだな。不義だ! 」
「で、黄耳くんは?」
「はぁ・・・わたしですか? 士衡さま意外に興味ないんですけど、そうですね。
 これは遊びなんでしょう?」
「ま、そういうことになりますかね〜」
左近の答えに黄耳は納得したように頷く。

「じゃあ、最悪全員いけるんで。わたしはこれで、」

「あ! なんたる不義っ」
「ず、ずるいですよっだったら私も全員がいいです! 」
「まぁ待て若人よ。」
「左近殿?」
「ここは俺に任せてくださいよ、・・・合コンの必勝法はね、とにかく酔わせることですよ!
 あとは攻めるのみ! 恨みっこなしですよ。」

なるほどねぇ〜・・・。三人の若者が、大人の悪知恵に納得させられた瞬間であった。


そうだ! まだつづくんだ。そして次はここからしか行けない→ トップからは入れないよ。。
おっと。早まらないで、カオスなのです。
良い子はここで引き返してくださいね!