※626キリ番リクエスト。・・・ご期待に添えるかどうか(頑張れよ!
メイド服☆な三成が出てきます。苦手な方はご注意を。
『フリルは男のロマンだろ? 』
(あ、ありえない・・・。)
石田三成は困惑の体で、鏡を凝視した。
ふわふわしたフリルがたっぷり使われた白いヘッドドレスは赤い髪によく映える。
思わず顔を覆いたくなる醜態だ。
三成の華奢な体を包むのはいわゆる、メイド服。
きゅっと絞られたウエスト、純白のエプロンドレス、首元にはご丁寧にも真紅の
大きなリボンつき。
黒と白を基調とした上品なそれは、とある筋からの贈り物だった。
「くっ・・・言葉にならんな・・・」
自分で着たんだけど。
「なぜ着たんだ俺っ? というかよく着れたな! 」
霧箱に入ってたんだもん。とか、着てみるまでなんかよく分からなかったんだ。とか、
次々に言い訳が思い浮かぶ。
と、同時に眼頭に熱いものがこみ上げてきた気がするが今は無視だ。
泣いてる場合じゃない。
――― 呪われた。
そう、脱ぎたくても脱げないのだ。
曰く、「身も心もメイドさんになりきるまで脱げぬ」らしい。
箱の底に書いてあった。
「・・・・ありえん。しかし、このままというのはまずいだろ。人として」
泣きたいよ。
取りあえず、幸か不幸か同居人の左近は不在だ。
夜まで、いや少なくとも夕方までは帰ってこないはず。
「あの男に見られるのは嫌だな」
なんて言われるか。
まあ、爆笑したあとで真面目な顔になって・・・。
想像して三成は身震いした。
「いやいやいや〜だめだろっ普通にだめ、このかっこでは絶対嫌だ、阻止せねば! 」
よく分からない使命感に燃えて、三成は自宅を飛び出したのだった。
・・・もちろんメイド服のままで。
自宅マンションから徒歩十分。
通いなれたアパートだ。
「お前から訪ねてくれるとは嬉しいぞ、みつな・・・り? 」
出迎えてくれた兼継はきょとんとして首を傾げる。
「り? じゃ、ない。 ・・・はぁ・・あ〜、お前はっ俺の顔を見忘れたのか?」
なぜか三成はぜーはー息を切らせて兼継を睨み上げた。
「もしかしてここまで走ってきたのか、三成はせっかちさんだな♪ 」
「・・・こ、このカッコでは仕方あるまい。恥ずかしくて死ぬかと思ったぞ!? 」
言って赤面しながら三成はスカートの裾を握った。
「ほおよく似合っているな、可憐だ! 素晴らしい出来だぞ三成っ? 完璧なメイドさ
んだ、私はそっち方面にはさほど詳しくないのだが、まさか私のために着てくれたの
か?! 」
「ち、ちがっ抱きつくな! 」
どんだけポジティブだ。
三成の制止を無視して兼継は三成の細い腰を抱きよせた。
「ちょっこら・・兼継、もうっとにかく俺を助けてくれ! こういうことはお前に しか
頼れん、」
「? よくわからないが私に出来ることは何でもしよう。三成のためだ」
にっと笑う友人の明るさに三成は肩の力が抜けていくのを感じた。
「とりあえず、中に入れてくれないか・・? 死ぬほど恥ずかしいから」
「さて、メイドになりきれば脱げるのだろう? 簡単なことだ三成、ここは私に任せ
ておけ立派なメイドにしてやろう☆」
「メイドにはなりたくないのだが? 」
「けったいな呪いですね。でも安心して下さい三成殿! なんとしても私があなたを
守って見せます」
「あ、ああ。頼りにしているぞ幸村・・・」
にっこりほほ笑む幸村。
「というか幸村はいつの間に? 」
「たまたまですよ」
(忍を使ったなどとは言えません。)
おかげで幸村は三成が来たのとほぼ同時にやってくることができた。
『幸村〜ストーカーは不義だぞ? 』
『はははっなんのことでしょう。それよりこんな機会を独り占めする方が不義ですよ! 』
目と目で会話する義友。
「どうした二人とも?? 」
「なんでもないですよ三成殿・・・・まかせておいて・・」
「幸村〜?」
しまったぁああ!
あえて見ないようにしていたのに。
どうした?と三成が小首を傾げる。その破壊力に何かが外れる音がした。
ぶはっ
「ひっ! 」
勢いあまって噴き出した鮮血に三成が軽く頬を引き攣らせる。
「だ、大丈夫れすよ、血の気は多い方なのれ・・・」
「う、うん分かった分かったからから鼻血をふいてくれ。出血多量で死ぬぞ・・・」
無言でこくこく頷く。
幸村は泣きたくなった。なんか知らんが千載一遇のチャンスがやってきた気がする
のだ。
「これが男のロマンってやつかぁ〜・・・」
出血多量で死んでも今なら本望かも知れない。
目が合った兼継も「それでいいのだ幸村!」と深く頷いた。
「三成、まずは「お帰りなさいご主人さま」からだ! 」
「は? お前はいつから俺の主人になった。」
「なら、三成殿! あれですあれ、『お帰りお兄ちゃん』ってやつ! やってください」
「幸村・・お前は年下なんじゃ・・・てかやってくださいって」
それは希望だよね?
「お前たち解決する気はあるのか」
「もちろんだ! 三成、脱ぎたいのだろう? なら、恥はかき捨て、どーんとあたって
砕けろ」
砕けたくない。しかし、兼継の言にも一理ある。
「うう、脱ぎたい。もうなんでもいいから誰か脱がしてくれっっ!! 」
脱がしてって・・・
脱がしてって・・・
「あ? 二人とも? 」
先に我に返ったのは兼継であった。
「これだ! 三成、シナリオでいこう」
「は? 」