なんか知らんが続いたのです。



「・・・えっとなぜ?」
 三成は鳶色の目を瞬いた。

「コスプレ」ってやつなのか。
幸村は学ランだし、兼継はどっかの貴族っぽい。似合っているからいいものの。
「これなら恥ずかしくないだろう三成? 」
「そうです、一人だけそのかっこうだから恥ずかしいのですよ、みんな一緒なら
 平気でしょ? 」
「お、おまえたち〜・・・」
うるるん。
とんだ茶番。だが、三成は完全に洗脳されていた。

「わかった、俺は兼継のメイドなのだな、任せておけ。演技くらい俺にだって出来る」
「そう。それで、幸村は・・なんか書生だ!」
「はい! 」
「では、早速言ってもらいたい、」
「こだわるな〜・・・お、お帰りなさいませ兼継? こんなかんっ」
感じ? と尋ねる前に引き寄せられていた。
間近で三成の瞳を見つめて囁く。

「ダメじゃないか三成、兼継さま、だ」
「か、かね、つぐさま・・・? 」
「しおらしい三成というのもなかなかいいものだな、」
「ば、ばかな・・・」

「脱げるのではないか? 」
そっと首元のリボンに手をかける。
「ちょっ兼継ぅこれはどうなんだ・・・? 」
流されかける三成の肩を誰かが掴む。
幸村だ。幸村はそのまま後ろから抱きかかえるようにして兼継から三成を引き
はがした。
「ちょっと待って下さい! なんとなく不純です、もっと優しく扱うべきですよ! 」
「む、私は決して三成を邪険に扱うことなどないぞ? 」

それでも、と兼継を遠ざける幸村。
「幸村〜」
「私に任せて下さい、ね、三成殿? 」
「・・・・う、うん」

三成をフローリングの床に座らせると、宥めるように微笑んだ。
これにはちょっと癒される。

「三成殿は私のことが好きですか? 」
「え、まあ、な」
「それは良かった! 私も大好きですよ」
「ゆっ幸村?? 」
「だから安心して下さい、」
そっと三成の白い手を取って頷く。

「何も心配しないで、あなたは私に身を委ねればいいのです。」
「・・・・・・は? 」
笑顔で何を言ってるんだい。
「怖がらないで、さあ」
「・・・・・・・! 」
意外なところで男らしい、というか押しの強い幸村に三成は後ずさった。
「いや、やはりここは私が! 」
「私に任せて下さい!! 」

「あぁあああやめぬか二人とも〜!! 身が持たん! 」
誰か助けて。
そう呟いて天井を見上げたのとほぼ同時、

「ちょっと待ったぁああーっっ!!!」

勝ちこみ上等! なノリで乗り込んできたのはよく見知った男であった
 前言撤回。
神様、助けて。


「さて、と。」
「左近・・・怒っているのか? 」

取りあえず兼継と幸村をハリセンで叩いておいて、左近は三成を小脇に
抱えて帰宅したのだ。
もちろん三成はいまだにメイド服である。
「怒ってはないですけど、呆れてますかね。」
「・・・す、すまん。」
メイド服と強面(こわもて)の男が対座する画は凄まじくシュールなのだが。
笑うわけにもいかず三成はいじけてローテーブルに「の」の字を書くしかない。

「で、その服の送り主は誰なんです? 」
「行長・・・あれは面白いもの好きで、な」
 へへ、と笑う。
その様子に左近も眉尻を下げないわけにはいかなった。

「成るほど、あの人のやりそうなことだ。それにしても着ますかねえ普通ー? 」
「き、きたわけだし? 」
ふはーーっと盛大に溜息をつかれた。
「うかつにも程があるでしょう
、」
「うっ・・・」
 こればっかりは言い返しようもない。

「そ、それにしてもよく俺の居場所が分かったな」
「そうですねーあなたに友達が少なくて良かった、探すのに苦労しませんでした
 よん? 」
「ああそうか・・・・嬉しくないがな。」
「殿、俺が一番悲しかったのは、どうして一番最初に俺に頼ってくれなかったのか
 ってことですよ。」
「だって、お前に笑われたくなかったから! 」
「え? 」
「わ、笑うだろお前・・・? 」

帰ってきたらまさかのメイド服なんて。
「新手のプレイですか? 」
みたいなことを言って爆笑する左近の姿が簡単に想像できる。

「わ、笑いませんよっ・・・・くっくく」
「・・・もういっそ笑え。」
ぷいっと顔を背けてしまう三成。
「まあまあ、お説教はこれくらいにしておいて、さて、これどうしましょうか? 」
ちょんちょん、と軽くリボンを引っ張る。

「メイドになりきれば脱げるそうだ、」
「なるほどね〜」
にやにや笑いに嫌な予感が募る。

「さ、さこん・・・まて」
「俺に任せておいて下さい、手とり足とり教えてあげますからね」
 「嫌」と言う前に、そのまま左近の方に引きずり寄せられてしまった。
「それじゃあ、たっぷりご奉仕していただきましょうか? 殿、」
「うぅうう、お前そういうとこ、ひどい・・・」
「なんとでも言ってください」

贈り物にはご用心。

 ――- この後、三成が泣きを見ることになったのは言うまでもない。
 

                                           −END


       あ、短い。短く終われたのでは?
       そうでもないか〜。
       まさかの三部作だよー。続きが気になる方は
ーおまけー(裏というほどではありませんが一応;) から。